コラム

食いしばりが引き起こすトラブル、放置していませんか?(テーマ:ボトックス 第2回/全6回)

無意識のうちに行っている「食いしばり」。実はこれ、歯や顎だけでなく全身にさまざまな影響を与えることがあります。歯のすり減りや詰め物の破損、顎関節症といったトラブルはもちろん、頭痛や肩こりの原因になっているケースも少なくありません。しかも厄介なのは、自分では気づきにくいという点です。今回は、見過ごされがちな食いしばりのリスクについて、歯科医の視点から少しリアルにお話ししていきます。

食いしばりは誰にでも起こる

「自分は歯ぎしりしてないと思うんですけど…」
これ、かなりよく聞きます。

ただ、実際に診ていると、ほとんどの方が何らかの食いしばりをしています。

日中のクセと夜間の歯ぎしり

食いしばりには大きく分けて2つあります。

ひとつは、日中のクセ。
パソコン作業中や運転中、ふと気づくと奥歯に力が入っているタイプです。

もうひとつは、寝ている間の歯ぎしり。
これは完全に無意識なので、自分ではまず気づきません。

・家族に指摘される
・歯医者で言われる
このどちらかで気づくケースがほとんどです。

ストレスとの関係

食いしばりは、ストレスとかなり関係があります。

仕事や家庭のこと、日々の緊張状態。
そういったものが、無意識のうちに“噛む力”として出てしまうんですね。

なので、
「最近ちょっと忙しいな」
「なんとなく疲れているな」

こういうタイミングで強くなる方が多い印象です。

放置するとどうなる?

ここが正直、一番お伝えしたいところです。

食いしばりは、放っておいて自然に治るものではありません。
むしろ、じわじわとダメージが蓄積していきます。

歯のダメージ

まず分かりやすいのが歯への影響です。

・歯がすり減る
・ヒビが入る
・最悪の場合、割れる

ここまでいくと、治療も大掛かりになります。

さらに、
・詰め物がよく外れる
・被せ物が壊れる

こういったトラブルも増えてきます。

「なんでこんなに取れるんだろう?」と思っていたら、
実は噛む力が原因だった、というケースは珍しくありません。

顎関節への負担

次に来るのが顎です。

・口を開けるとカクカク音がする
・大きく開けにくい
・顎が痛い

いわゆる顎関節症の症状ですね。

これも、食いしばりによる負担が関係していることが多いです。

顎は意外と繊細な関節なので、
強い力が長期間かかるとトラブルが出やすいんです。

意外な全身への影響

ここからは少し意外に感じるかもしれません。

食いしばりは、口の中だけの問題ではありません。

頭痛・肩こり

咬筋(噛む筋肉)は、こめかみや首の筋肉とつながっています。

なので、過剰に緊張すると、
・こめかみの痛み
・慢性的な頭痛
・肩こり

につながることがあります。

実際に、
「歯の治療をしたら頭痛が軽くなった」
という方もいらっしゃいます。

すべてがそうとは言いませんが、
原因の一つになっているケースは確実にあります。

睡眠の質低下

夜間の歯ぎしりが強い方は、睡眠にも影響が出ることがあります。

・寝ても疲れが取れない
・朝からだるい
・顎が疲れている

こういった状態ですね。

無意識に筋肉を使い続けているので、
身体がしっかり休めていない可能性があります。

気づかないのが一番の問題

ここまで読むと、
「自分も当てはまるかも」と思った方もいるかもしれません。

ただ、食いしばりで厄介なのは、
自覚がほとんどないことです。

歯医者で初めて気づくケースが多い

診察していると、
・歯のすり減り
・骨の状態
・筋肉の張り

こういったところから、食いしばりの傾向が分かります。

ご本人は全く気づいていない、というのが本当に多いです。

早めに気づけば対策はシンプル

逆に言うと、早めに気づけば対策はそこまで難しくありません。

・マウスピース
・生活習慣の見直し
・必要に応じてボトックス

選択肢はいくつかあります。

大事なのは、
「放置しないこと」これに尽きます。

まとめ

食いしばりは、多くの人にある“無意識のクセ”です。
ただし、そのままにしておくと歯や顎だけでなく、全身にも影響が出てくる可能性があります。

特に、
・歯のトラブルが多い
・顎が疲れやすい
・頭痛や肩こりが続いている

こういった方は、一度チェックしてみる価値があります。

大げさな治療が必要になる前に、
ちょっとした気づきと対策で防げることも多いです。

「自分は大丈夫」と思っている方ほど、
一度見ておくと安心ですよ。